<体力貯金>
新小5に入り、4教科になって早稲アカが週3に増えた。
これにより、ギリギリまで踏ん張るつもりだった週2のスイミングが、問題として浮上した。
娘は移動時間がもったいないし、帰ってから眠くなる時間ももったいない。
翌日の授業に向けて勉強したいと言う。
気持ちは分からなくもない。
しかし、どうしても、私は、まだスイミングを週1にするという選択肢が取れない。
減らせない理由は、体力の貯金だった。
体力は、一日やそこらでつくものではない。
体力貯金の必要性に比べたら、2時間の勉強時間のロスは、やむを得ないというのが、私の考えだった。
スイミングを始める前の娘の幼少期は、年齢が幼かったこともあり、ともかく頻繁に病気になった。
その度に、職場に電話がかかってきて、私は小さくなりながら、保育園へ迎えに行った。
「ごめんね。弱い体に産んでしまって」と娘に思う気持ちと、職場への罪悪感から消え失せてしまいたいほどだった。
それがスイミングを始めて数か月してから、徐々に熱も出さなくなった。
やがて小学校に上がり、週2に増やしてからというものの、全く風邪もひかない。
今のクラスでは、トータルで2000m程度を1時間弱のレッスン時間に泳いでいる。
それを週2回。
週1に減らしてから、どのくらいの期間、この病気をしない丈夫な体が持つのだろうか。
半年位で週2貯金は使い果たすのではないだろうか。
だとすれば、その貯金は小6の夏休みに充てたい。
考える私の横を活発に走り回っている男子が通り過ぎていく。
うらやましく思う。
あんな風に、普段からよく動く、活発な子だったら、スイミングは減らすどころか、やめても良い。
あの子に万歩計を持たせたら、1日どれくらいになるのだろうか。
大人が基準とする6000歩や10000歩のボーダーラインなんて余裕なのではないか。
大人が基準とする6000歩や10000歩のボーダーラインなんて余裕なのではないか。
結局、私も娘もどちらも折れることができず、組分けテストの前1週間は休むという折衷案をで決着をつけた。
娘は「わかった。じゃあ、バスの待ち時間と、バスの中で勉強するね」と言った。
娘は宣言通り、バスを待つ場所で、立ったまま問題を解いていたようだ。
その姿は異様に目立ち、ママ友達を、それはそれは驚かせたようだった。
私の顔を見る度に、ママ友達に「ねえ。いつもバス停で立ったまま勉強しているけど大丈夫?」と聞かれ、私も苦笑するしかなかった。
実際、「がむしゃら」という言葉が一番似合い、最も勉強を頑張ったのも、新小5だった。
あの頃の娘は、馬力が違ったのだ。
娘の場合、結局は体力勝負だった。
あの時、週1に減らさず、一年引っ張って正解だったと思う。