<切れた私>
ある日のことだった。娘は夜私に言った。
「ママ、明日の朝から私頑張る!絶対に朝勉しよう」
「ママ、明日の朝から私頑張る!絶対に朝勉しよう」
その言葉を待ち望んでいた私は、ついに来たか!活力が戻ってきたか!と
喜びと希望に満ちて眠った。
翌朝は、娘よりずっと早く起きて、勉強道具を並べ待っていた。
久しぶりの朝学習だ。どこからやろう。
久しぶりの朝学習だ。どこからやろう。
そして、朝勉の時間になった。娘は降りてこない。
5分、10分遅れることは過去にもあったので、辛抱強く待つ。
やはり降りてこない。
娘の寝室に行ってみると、目覚まし時計が鳴り響いていた。
同じ寝室の母が迷惑そうにしていた。
同じ寝室の母が迷惑そうにしていた。
目覚ましを止め、娘をゆすって起こす。
「ねえ、勉強するんじゃないの?」と、母に迷惑にならないよう小声で言う。
「ねえ、勉強するんじゃないの?」と、母に迷惑にならないよう小声で言う。
すると、娘は「眠いからほっといてよ」とイライラして言った。
その瞬間、ぶちっと何かがはじけた。
その場で怒鳴ってしまいたかったが、母を起こすことになるので黙って部屋を出る。
何だと言うのだ。
私は悔しくて、ボロボロと泣いた。
私の仕事、大事な仕事。
何十年も働いてきたのに。
仕事命で仕事が大好きだったのに。
遣り甲斐の全てだったのに。
職場の皆さんとの信頼関係も築いてきたのに。
産後も4か月から苦労して続けてきたのに。
娘がどうしても受験をしたいというから、仕事を辞めた。
受験の為に仕事を辞めると決断したのは、他ならぬ私だ。
娘の責任ではないし、娘は辞めて欲しいと言ったわけでもない。
娘の責任ではないし、娘は辞めて欲しいと言ったわけでもない。
しかし、やり切れなかった。
最近のキレてくる娘の態度に、極度なストレスが溜まっていて、
もう何の余裕もなかった。
受験の為に、ここまで必要なのか?
私があの時覚悟を決めたのは、こんなくだらない朝の為なのか?
私があの時覚悟を決めたのは、こんなくだらない朝の為なのか?
娘の体にとっても、もう無理なんじゃないか?
今なら、まだ、あの世界に戻れるんじゃないか?
受験に対する怒りと、仕事を辞めると決断した過去の自分と、
昨日自分で勉強しようと言っておきながら裏切った娘、何もかもに腹が立った。
昨日自分で勉強しようと言っておきながら裏切った娘、何もかもに腹が立った。
ようやく娘が下りて来た。
「自分で言っても起きられない程体が辛いなら、受験なんて辞めたらいいじゃない!」
私は怒った。
「自分で言っても起きられない程体が辛いなら、受験なんて辞めたらいいじゃない!」
私は怒った。
娘は娘で、寝起きで機嫌が悪く、「今からやるって言ってんじゃん」と謝りもせずに逆切れした。
「ごめんなさいの一言もないわけ?」と私が言うと、
「謝ってる時間、勉強した方がいいじゃん」と不機嫌に言う。
「謝ってる時間、勉強した方がいいじゃん」と不機嫌に言う。
ついに私は切れてしまった。
さっさと台所へ行き、新しいごみ袋を持ち出して、広げていた教科書やノート、プリント類をごみ袋に入れた。
それだけでは気が収まらず、本棚にあるテキストも全てゴミ袋に入れていった。
娘があっけに取られている間に、全ての受験教材はごみと化した。