<組分け1週間前>
ようやく再出発した私達だったが、組分けまで残り1週間を切っていた。
派手に喧嘩をした後、すっきりした顔の娘に対し、私は摩耗してボロボロだった。
張り切った娘は、「ママ!私次の組分けこそ、絶対上のクラスに上がるから!」
「算数150点の壁を超える!」と宣言して私を驚かせた。
大きな夢を見るのは良いし、諦めないで欲しいのだが、この状況ではさすがに高望みだ。
前回、前々回、奇跡の128点だったのに、それが当たり前だと思っているのだろうか。
現実として、この状態では、クラスダウンになってしまう可能性の方が高かった。
それを考えると恐ろしかった。
折角上がったモチベーションを下げても仕方ないので、言いたい言葉をぐっとこらえ、「うん、頑張ろうね」と微笑み、苦言は控えた。
理社のクラスは変わったばかりなので、今回の組分けの影響でクラスダウンしたとしても、さほどダメージを受けないだろう。
むしろクラスダウンすれば、再びH先生の理科に戻れて喜ぶかもしれない。
そうプラスに考えることにした。
むしろクラスダウンすれば、再びH先生の理科に戻れて喜ぶかもしれない。
そうプラスに考えることにした。
ならば問題は、国算クラスダウンの可能性だ。
理科に関してもそうだが、算数もH先生の情熱によって、今の娘は存在しているし、ここまで伸びた。
H先生の、隣の教室から苦情が入るほどの大きな声。
ダイナミックで笑いの絶えない黒板と授業。
止まらない先生のお話。
止まらない先生のお話。
驚く程膨大な宿題量。
怠け者には厳しく、頑張った者には褒めてくださるメリハリ。
全てが娘の心をつかんでいた。
士気を上げる仕組みが随所に盛り込まれていることも、効果的だった。
まるで毎日が運動会の様だ。
H先生の熱い授業は娘にはぴったりだったし、性格すら変えたと思う。
どちらかと言えば、大人しく、おっとりした娘が、
ハチマキを締めて戦う、熱血早稲アカスタイルに完全に馴染んでいくとは、
半年前の私には想像もできなかった。
ありがたいことに、H先生に怒られたくない一心で、この危機的なスランプの時期でも、かろうじて宿題を出せていた。
やはり、このクラスに何とか残って夏休みを迎えたい。
H先生と過ごす夏は間違いなく充実したものになるだろうし、娘に合っている。
ここはもう、理社はあきらめ、国語と算数だけ何とか今のクラスに残してもらえるようにしなければ。
カレンダーとノートと、今も出され続けている膨大な宿題を前に、私は考えこんだ。
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