<母娘バトル>
夏休みが始まった。
学校との両立から解放され、私はやる気で満ち溢れていた。
しかし、相反して、娘の反抗的な態度や、だらしなさが目立った。
組分けテストの悲惨な結果も、かなりダメージを受けた様だし、
学校との両立での疲労が出ていたこともあるだろう。
必然的に無駄な喧嘩も多い時期だった。
例えば、7時に起きると約束しても8時半まで起きてこない。
朝勉強をすると言ったのは娘なのに、とやりきれなくなる。
一方で、体が睡眠を欲しているなら休ませてあげるべきかもしれない
という気持ちもあり、悩ましい。
結局30分ごとに声をかけ、ようやく8時半頃、起きてくる。
完全に寝ぼけてパジャマのまま朝食を取ろうとするのだが、
寝ぼけているのか、朝食をお盆ごとひっくり返してしまう。
それでも、まだぼーっとして、謝りもせず、床を拭きもせず、
「もう一回、朝ご飯作って」と言ってくる。
やるせなかった。
保育園児の頃、こんな頃があったな、食べ物を作っては、こぼして、床を拭いてという日々が。そう思い出す。
しかし、今はもう11歳だ。自分でこぼしたものは自分で片付けてもらおう。
娘はだらだらと片付けるが、寝ぼけていて、なかなか終わらない。
結局、黙って見ていられず、私も一緒に片付ける。
「ねえ、顔を洗ってシャキッとしたら?食べ物が可哀想だよ」思わずそう言う。
その言葉に苛立つ娘が「私だって、好きで落としたんじゃないし!」と娘が言い返してくる。
他愛もないことなので、私も聞き流せば良かったのかもしれないが、
この頃の反抗的な娘に対して、どうもうまく受け流せなかった。
「そういう言い方はないでしょう。ちゃんと作った私にも謝ってほしいし、可哀想な食べ物にも謝ってほしい」と私が言っても
反省するどころか、逆切れしてくる一方だ。
最後には、朝ご飯を作り直してくれないなんて、あんまりだとか、
受験に落ちろってことなのか?とまで言い出す娘に対し
呆れて言い返す気にもならず、
私が部屋を立ち去る時もあったし、母に任せてしまうこともあった。
理不尽なやり取りにストレスが溜まった。
受験生だから勉強以外何を言っても許されるのではないし、
我儘を言いたい放題のフリーパスを持っているものわけでもない。
11歳の体に負荷がかかりすぎている現実は把握している。
しかし、何でも許してもらえると思っているのだろうか。
どうしようもなく、煮詰まった時、やはり二人の間に風を吹かせてくれたのは
夏期講習だった。