<娘が林間学校の間、何をするか>
娘が林間学校へ行く少し前のことだ。
夫から「娘が宿泊行事でいない間は、ママ塾も完全に休んではどうだろうか。
365日、動き続けるなんて辛すぎるし、
最近はストレスも溜まっているだろうから気分転換しようよ」という提案があった。
確かにそうだ。もうクタクタだった。
小4の冬は、何とかついていけるように、未習単元を鬼の様にこなした時期だった。
この頃はこの頃で、肉体的に摩耗し、かなり辛い時期だった。
その後、小5の春は、未習のものがない分、授業についていきやすかったが、
生涯に影響するような数々の事件が起きたし、
学校との両立も大変で、娘が不安定だった分、精神的な疲労が大きかった。
職場では、仕事の大きな山が終わると、打ち上げがあった。
夏には暑気払い、冬には忘年会や新年会があって、季節を感じることができた。
誰かが入社すれば、歓迎会があったし、退職する時には送別会があった。
飲み会は参加して当たり前という感覚で参加してきたので、
特に楽しみでもなく、当たり前のものとしてあるものの一つだったが、
これにより、生活にメリハリがついたと改めて知る。
いざなくなってみると、年中無休のママ塾は寂しいものだ。
ママ塾には休みがない。気持ちの休みがないのだ。
一方、娘はたくましく育って欲しかったので、
小さい頃からスイミングスクールやガールスカウトのキャンプに、積極的に申し込んできた。
夫の田舎へ数週間ひとりで遊びに行くこともあった。
林間学校の説明時でホームシックの話もあったので、念の為聞いてみたが
「外で泊ること?余裕に決まってるじゃん。むしろ楽しみ!
塾を休むのはやだけどね」
という、たくましい返事が返ってきた。
それを聞いてもまだ私は、ママ塾を休むことに抵抗があった。
そこで、無理に受験から気持ちを引き離すべく、大人だけの空間に身を置くことと、
デジタルデトックスを目的に計画してみることにした。
まず大人しか入れないレストランを二日分、予約した。
加えて大人しか入れない温泉と、映画の予約をした。
レストランでスマホは見ない。映画館は電源を切っている。
温泉ではセーフティボックスに入っている。
学校から緊急の連絡がないか、数時間に一度、スマホのポップを確認すれば良いだろう。
当日の朝
「受験のことは全部忘れて、林間学校に集中してね。喧嘩と怪我はしないでね」というと、娘は声を上げて笑った。
こうして初めての大人の夏休みが始まった。