<ママ塾の休暇二日目>
二日目は予約した温泉へ行った。
年齢制限がある大人だけの空間なので、静かなところがちょうど良かった。
ここは水着で入れるスパエリアと、温泉と2つのブースに分かれている。
スパエリアには、ジャグジーがあり、水温が低いので、長く滞在できる。
ジャグジーの水圧は強く、湯の中に浮きながら、背中がほぐされる。
それが何とも気持ちが良いので、すっかりはまって長湯した。
仕事をしている間は、肩こりに警戒していた。
定期的にマッサージにも行っていた。
自分でも頻繁に肩を回したり、社内の福利厚生を利用して、仕事の合間に職場のストレッチルームを予約したり、
休みの日はヨガに通ったりもした。
それが今はどうだろう。
机に向かっている時間は、働いていた頃とさほど変わらない。
にもかかわらず、マッサージもストレッチも行っていない。
自分で肩を回してほぐすことすらしていないし、ヨガもしていない。
唯一、泳ぐくらいだ。
確かに、泳ぎに行けば、肩回りはほぐれる。
しかし、クロールでさっと泳ぐ位だと、動かす筋肉も決まってきてしまう。
ほぐし足りているとは言い難い。
力み過ぎは、体にも出ていた。
ジャグジーの圧を受けながら、体に無理させてごめんねと心の中でつぶやく。
天井を眺めた。
気持ちの良い夏晴れだった。
何だか涙が出てくる。リラックスして気が緩んだのだろう。
もう、「受験生の母が、こんなことしてて良いのかな?」とは思わなかった。
自分の体に無茶をさせていたことに反省した。
温泉へ移動する。
様々な年齢の方が各々の時間を過ごしていた。
折角なので、外に出てみる。
森の木々から蝉の声がした。
露天風呂に入りながら、蝉の声を聞く。
ふと汗が出にくい事に気が付いた。
温泉に入ってから、大分時間が経っているのに、ちっとも汗をかかないのだ。
仕事をしていた時代は、冷房で体が冷えないよう、
岩盤浴に定期的に通って汗を出していた。
加えて、自宅でも長時間半身浴をしたり、
キャンドルのお風呂に入ってリラックスする休日もあった。
それが、今では毎日烏の行水だ。
娘の弾丸トークを聞いて、素早く上がる。
リラックスどころではなかった。
汗腺も弱っていそうだし、冷え性も酷くなっていそうだ。
自律神経も乱れもあるかもしれない。
もう少し、自分の体ときちんと向き合わなくてはいけない。
でないと、この先、過酷な生活が1年半も持つわけがない。
娘の体は大事だが、伴走する私の体も重要なのだ。
倒れては元も子もない。
そう思った。