<娘の人生の転機>
K先生へ初めて質問できた日の娘の様子を書く。
帰宅時間はかなり遅かった。
夫が迎えに行っていたので途中でLINEすると、
電話があったので、待っているとのことだった。
丁寧に先生が教えてくださっているのだろうか。
それとも、数週間分溜め込んだ質問を全部聞いているのだろうか。
いずれにしても、ずっと腹痛でお腹を下し、
先生に質問するところまでいけなかったことを考えると、
・先生に挨拶をする。
・先生の授業についていけるように頑張る。
・先生に質問された時に、ちゃんと受け答えができるようにする。
という、長いステップを踏んで、
ようやくK先生に声をかけ、質問ができたのだ。
どの様な展開であっても、勇気が出せたことを褒めたいと思った。
帰宅後の娘に改めて聞く。
「どうだった?質問はできた?」
すると、意外な言葉が返ってきた。
「うん!できたよ。でもね、K先生はね、他の先生と違っててね。
ヒントっていうか、途中まで教えてくれるの。
それで、
『はい。満月、ここまでだ。
もう一度自分で考えて頑張って解いて持ってくるように』
って。
でもね、なんか解けそうな気がしたんだよね。
『もう少しだから頑張りたいって。行けそうだ!』って。
だからパパに電話して残って解いてたんだ」
そういう展開になったのかと驚く。
「そうだったの。それで解けた?」と聞くと、ノートを開いて
「うん。これとこれは解けて先生にもチェックしてもらったんだよ!!
この問題は塾が閉まっちゃう時間になったから、明日持っていくよ!
すごくない!先生にも『その通り!』って褒められたんだ」
と、娘はとても嬉しそうだった。
今振り返ると、これが娘における大きな転機だと思う。
もし、K先生にお会いしていなければ、
いや、K先生に質問をしていなければ、おそらく全く違った人生だっただろう。
娘の受験ライフにおいて、
算数の基礎中の基礎を作ったのはママ塾だと思う。
その次の段階で、娘に算数の問題を解く楽しさと
受験に対する熱い心を教えてくれたのは、
一つ下のクラスでお世話になったH先生だ。
そして、小5の最後から、受験期、現在の娘を作るベースとなる
『自分で粘って考える力』を作ってくれたのは、他ならぬK先生だと思う。
娘は嬉しそうにノートを開いて説明している。
それを聞いて正直に言って脱帽した。
『ここまで説明するから、あとは考えてごらん?』
という指導方法があることに、まずは驚いたし
そのK先生の手の放し方が実に巧みなのだ。
決して教え過ぎず、でもカギとなることはきちんと教え
娘が頑張って理解して解けるギリギリのラインで手を離す。
こんな高等な技術は私にはなかったし、とてもできなかった。
K先生に勇気を出して、質問できるようになったことにより
娘の思考力は一気に底上げされていくのであった。