<クラスダウン決定後。K先生に電話をする>
クラスダウンすることが決定した後、私はすぐにK先生に電話をした。
トップクラスに上がってからも、何度か路上でK先生とお会いする機会があった。
「どうですか?満月は?頑張っていますか?」と先生がおっしゃる度に
泣き出したい気持ちになった。
「実は全くうまくいっていなくて」と言った後、
今は『かわいい子には旅をさせよ』の旅路の最中であることを思い出しては言葉を濁した。
まだ旅の途中なのだ、それ以上言ってはいけないと思い、何とか自制してきた。
しかし、1ヶ月奮闘した結果がクラスダウンを決めた今は
諸々の事情含め、きっぱり話そうと決めていた。
折り返し電話のあったK先生は、予想通り驚かれ、「早すぎではないか」
とおっしゃった。
ここで私は今まで言っていなかった本音を話し始めた。
「この話は、K先生だからお話するのですが・・・」と。
本音の本音だ。
何が原因だったか、私達夫婦が何に引っかかっていたか、娘はどうだったか。
もちろん言葉は選んだが、洗いざらい話した。
早稲アカに対しての不満も、逆に私達のいたらなさも、受験に対しての様々な思いも。
そして、最後に私は渾身の力を込めて言った。
「娘も私達もK先生じゃなきゃダメなんです!」
熱くなりすぎて涙が頬を伝る。
先生には涙を流していると伝わらない様に気を付けた。
かつて一万マイルあったK先生との距離が嘘の様だ。
私達夫婦、特に夫はK先生に絶対的な信頼を置いていた。
K先生であれば、私達夫婦の思いや娘の言葉を伝えても社内でむやみに公開されることはない。
社内共有されるべき話のみが共有されるであろう、ということも信じていた。
一通り話を聞いたK先生は
「わかりました。それではもう一度私のクラスで頑張りましょう!」
と言ってくださった。
数日後、娘とK先生がお会いした際には、
「満月!SS(トップクラス)から戻ってきたからには、覚悟はできているだろうな。
明日からクラストップは当たり前だからな!もしトップじゃなかったら~!!」
と早速K先生はおっしゃる。
娘は反射的に「ひえー!」「はいーっっ!!」と言っていたが、
言葉とは裏腹に活き活きしてとても楽しそうだった。
私は遠くから先生に一礼した。
帰り道は心が軽かったし、夜風が心地よかった。
コロコロと笑って楽しそうな娘の話を聞きながら
改めて今回の判断に間違いがなかったことを確信したのだった。